c:j5tatmpjt 캐스

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夏目貴志は幼少期に母、続いて父と死別し、父方の親戚をたらい回しにされてきた。普通の人には見えない妖怪が見え、妖怪によるトラブルに巻き込まれることも多かったことが災いし、「虚言癖のある薄気味悪い子供」と看做され、忌み嫌われてきた。葬儀の席で貴志の不遇を見かねた藤原滋は妻の塔子と相談し、貴志を引き取ることにする。子供の居なかった藤原夫妻は貴志を実子のように大切にする。貴志はようやく落ち着いた暮らしを送れるようになり、高校に北本や西村という友人が出来た。

ある日、貴志は妖怪たちに襲われ逃げ回る際に祠に封じられた妖怪斑(まだら)の封印を解いてしまう。貴志を見た斑は「夏目レイコじゃないか」と尋ねる。レイコは貴志の母方の祖母だった。藤原宅に戻った貴志はレイコの数少ない遺品の中から「友人帳」を見つける。友人帳は貴志と同様に妖が見え、天涯孤独だったレイコが妖怪たちと勝負し、負かした結果、奪った名を集めた契約書の束だった。やがて、友人帳は「多くの妖を従え、使役出来る宝物」として妖たちの間に噂として広まっていた。斑は貴志から友人帳を奪おうとするが、貴志は斑と「俺が死んだら友人帳はお前にやる」という約束をし、かわりに斑は貴志の用心棒となる。依り代である招き猫と強く結びついてしまった斑は普通の人間には「頭の大きな猫」に見えるためニャンコ先生と呼ばれるようになる。こうして、貴志とニャンコ先生は友人帳から名を取り戻そうとする者、友人帳を奪おうとする者、希有な存在である貴志を喰らおうとする者、夏目レイコの復活を知って訪ねてきた者、相談事を抱えてきた者など様々な妖怪たちと関わりを持つことになる。友人帳から名前を返すたびに貴志にはレイコの記憶が流れ込む。レイコと妖怪たちとの繋がりは力任せな主従関係といった単純なものではなく、人から避けられ、人を避けて生きたレイコとそんなレイコを見かねた妖怪たちとの想い出の数々でもあった。貴志はレイコとの唯一の繋がりであり、名を縛られた妖たちにとっては命も同然の友人帳を大切に扱うようになる。また、様々な出来事を通じて妖たちとの出会いと別れを繰り返し、彼らを抱えた事情や想いを知ってゆくのだった。
やがて、貴志は転校生で僧侶の息子田沼 要、好事家の祖父から妖に関する秘術を受け継いだ少女多軌 透と知り合い友達になる。二人は北本や西村と違い貴志の抱える秘密と事情を知って協力を申し出てくれる。だが、妖の存在は感知できても見ることが出来ず身体的に悪影響を受けやすい要、魔法陣により限定的に妖の姿を見ることが出来てもそれがために命に関わるトラブルに見舞われた透を巻き込むまいとして貴志は二人にも言えない秘密を抱えることになる。また、貴志は「式」(式神)を使役し、妖に纏わる怪異現象を請け負う「祓い屋」でありイケメン俳優でもある名取 周一と知り合う。体表にイモリの妖怪が這い回る周一は貴志と同様に妖怪が見えることから普通の人々から距離を置き、妖を憎んでいた。同じ悩みを抱えた貴志に周一は好意的に振る舞い、妖祓いの手伝いをさせるようになる。だが、貴志は信頼出来る周一にも友人帳の存在だけは教えることが出来なかった。周一と関わるうち、貴志は祓い屋の大家「的場家」の現当主的場 静司とも知り合う。ときに暴力的かつ強引な手段で妖たちを従え、祓う静司たち的場一門を貴志は警戒する。だが、静司は式を素手で撃退するほど強力な妖力を持つ貴志に目をつける。
レイコと同じく普通の人々と異なる力と理解されない孤独、天涯孤独の境遇を味わいながらもレイコが得られなかった「大切な人たちとの繋がり」を得た貴志は藤原夫妻や友人達といった「大切なもの」を守るため、ニャンコ先生と共に日々奮闘する。そして、貴志と亡き両親との絆、夏目レイコ最大の謎である「彼女が誰と知り合い誰の子供(貴志の母親)を成したか」という秘密が徐々に明らかになるのだった。